店を出すに際し、どうしても満たさなければいけない条件が何点かあった。 1、オペレーションが難しくない事2、シェフやバリスタなど人に依存しない事3、建物内にある、ホテルとランドリーとシナジーがある事4、初期投資300万で済む事今回の店舗はホテルの1階にあり、横にはコインランドリーがある。 僕の副業であるホテル業のそのまた副業である飲食業にかけれる時間が限られる事は容易に想像がついていた。だから人が抜けたらなりたたないような属人的な飲食店経営は避けたかったし、それゆえオペレーションも簡単なほうがもちろんいい。  そして3もまたマスト条件、ホテルの1階エントランス、ロビーと同じスペースにあり、横にランドリーがあるからには宿泊者に来てもらうのはもちろん、洗濯に来た人にも使ってもらいたかった。 あと投資額。これはもちろん回収できるのであれば500万でも1000万でもかければいいのだが、3年回収でこのビジネスを見た場合、1000万の投資なら月間利益30万必要だ。30万の利益を出すためには100万以上売り上げなければならず、その為には25日営業で日販4万。15席程度しか作れない店内だと単価を取れる食事とお酒は必要だし、ディナー営業しなければならなくなるかもしれない。そうなると厨房とシェフが必要。すると1,2の条件が満たされない。 逆に月間の利益を10万、20万と低く見積もったとすると、50か月回収するまでこんな薄利な商売をそんなに長くつづけられる自信もなかった(飲食は5年回収も当たり前らしいが。。。)そうやって考えていくと、大きく張って大きく回収を目指すモデルよりは多少客単価が下がっても大きな厨房はもたず、最低限の食事とお酒を出せる設備で初期投資を抑えて始め、もし需要があればあとから広げるというやり方でやった方がいいという結論になった。 施工は最低限だとどれくらいか?200万位で施工と内装を作れないか画策したが到底無理だと分かった。300万円でも相当きびしいといわれたが、なんとか作ってくれと懇願し。投資額は300万に着地した。 前回のブログエントリーでプロダクトアウトになるなとか言っておきながらなんてプロダクトアウトなやり方なんだろう笑 話はそれるが、僕は昨年まで5年間キャンディークラッシュというゲームを作っている会社でマーケの責任者をやっていた。やっていることは一言でいうと広告宣伝。広告費で10億円を使ったら、使ってから1年でその10億円を利益として回収するという事だった。そしてこの回収期間の1年はスマホゲーム業界では長いとも言われていた。ちなみに社外取締役をやっているダンクハーツという会社のゲームタイトルは3か月から半年で投資を回収していたタイトルもあった。業界が違えどなんていう差なんだ。。。  話を戻って店舗の話。300万の投資額の是非だが、これは建物全体の数字から見ると多少の納得感は出てくる。 店舗が入る建物全体の平米数は370平米で12部屋。ホテルはとしての規模としては小さいが、それでもコロナじゃなければ月300万の売上は出るはずだったし、ランドリーは代理店の試算では月50万まで育つと言われたから話半分で聞いたとして25万位までは育つだろうと思っていた。駐車場とフードトラックの場所貸しはそれぞれ5万円と3万円という数字はすでに先行して出ていた。すなわち利益率で考えると、   フードトラック>駐車場>ランドリー>ホテル>>>>店舗 となり、45平米の店舗の目標売上50万円、利益10万円というのはこれらの中でも圧倒的に効率が悪い。20平米のランドリーが1200万の投資なのを考えるとやはりどう考えても店舗に1000万は出しすぎだ。 厨房設備や工事に多額のお金を使わず、オペレーションが楽で、ホテル、ランドリーとの親和性が高く、人に依存をしない、などを考えていくと必然的に店舗の業態は決まっていった。 それは、、、カフェだった。 ...

飲食業というのは難しい業態というのは誰でも聞く話だ。じゃあなんでこんなにも多くの人がやっているのだろう? 店を持つのが夢だったから? 自分の居場所を作りたいから?好きな食事、お酒で客を喜ばしたいから? 全部よくある話でその動機が間違っている訳ではない。ただ、多くの人が夢見て目指し、そのほとんどの人がうまくいかず店をたたむことになる、それが飲食業界である事もまた事実だ。 個人店舗でなおかつ飲食に夢があればある人であるほど「俺が作りたい店」を作る傾向があり、周辺環境やトレンド、競合状況に関してなどの経営にクリティカルな情報を無視してしまう傾向にあるという。 夢が先行してビジネスのことを考えず店をたたんだ人の話や、いかに利益が薄い業態であるかといった事実は共同経営する予定だった人からも耳がタコになるほど聞いていた。だから飲食店を個人の趣味嗜好ばかりを優先してやってはいけないという事はわかっていたし、周りに必要とされる店を用意する事の重要性も知っていたつもりだ。 話はそれるが、自分の嗜好で判断しすぎてしまう、という事はマーケティングの世界でもよくある。マーケターや経営者が自分のイメージで宣伝先のメディアを決めてしまい自分の知らないメディアには発注しない、というような事だ。その商品のターゲット層が明らかにその発注者とかけ離れていたとしても、、。 電通のIC局にいた2007年頃の話、僕はガラケーのSNSサイトのモバゲータウンの担当だった。ガラケー全盛期の当時のモバゲーはまだポータルサイトを目指しいた頃で、アバターを武器にものすごい勢いで伸びていた。僕はその可能性を目の当たりにし、ありとあらゆるクライアントに提案しまくっていた。自身も本気ではまり、毎日何時間もモバゲータウンで時間を過ごした。そこで広がる10代の子達の反応とエンゲージの強烈さは当時20代中盤だった僕には衝撃的だった。ただ提案する企業は口を揃えて「モバゲーなんてしらないから発注しない」というばかり。そんなに流行っているのだったら、と、ようやく決まったのは新しいもの好きのコカ・コーラ社。1500万円の広告費をもらい、ファンタの企画を作ったらそれが大当たりをした、という経験がある。   その時もあきらかにモバゲーは十代の中では流行っていた。ただ広告主の宣伝部のおじさん達が自分の価値観で考え、目の前の数字とデータを無視してしただけ。 その経験があったからこそ、自分の趣味嗜好で商品を決めてしまうすマーケットインの考えではなく、何が求められているかを知ったうえでそれを出す、プロダクトアウトの考え方を今もすべてのビジネスの局面で心がけているつもりだ。 今回のプロダクトである、店舗の場所は初台北口徒歩2分。オペラシティーから一本入った住宅街で人通りはない。広さは45平米。ホテルとランドリーが併設。施工にかけられる予算は300万円。かけられる時間も大してないし、飲食なんてずぶの素人。この条件下の最大公約数を求めるように業態を絞り込まなければならなかった。 ...

2020年の7月、僕は途方にくれていた。   それまで店の経営を任せようと、一緒に半年以上ゆっくり計画を練ってきたパートナーが条件が合わないと言い出し、降りてしまったからだ。   そもそも店は出したかった、というより出さなきゃいけなくなった、、というのが正しい。   元をたどれば僕は外国人旅行者をウェルカムしながら自分も住む宿を作りたいとの想いから、2018年に幡ヶ谷にホテルを建てて自ら住んでいた。   その幡ヶ谷が思いのほかビジネスとしてもうまくいったので初台に2棟目を建てる事になったのだ。 そして、渋谷区の新築ホテルは区の条例で部屋以外にリビング30平米と食堂30平米を作らなければならないというルールが適用される。 一棟目に建てたポートハウス渋谷は食堂機能として一階をテナントを入れたが、一年間決まらなかったし、テナントがホテルと経営が異なることによるシナジーのなさも感じていた。   だから2棟目の初台は一階の食堂部分をホテルゲストの出入り口導線上に作り、ホテルのリビングとしても活用したかった。そして食堂の隣には食堂から直接入れるコインランドリーも作るつもりだったので、一般のテナントに貸し出すのは難しいと不動産会社にも言われてしまっていた。   もちろん飲食業経験ゼロの僕はそこで経営をやろうとも、やれるとも思ってない。だから飲食のプロを連れてきて、やってもらうしかないと思っていた。   組む相手を探したところ、たまたまよく行くバーの店長が乗ってきてくれ、一緒に200万づつ投資して最低限の設備と家具を入れてやってみよう、ということになった。当然飲食の経験と知識のある、この人だったらまかせてもよい、と思える男だった。   ただ共同投資とはいえ、場所をこちらが用意し、労働を向こうにお願いするというモデルだと、利益配分が難しかった。また所有権や契約形態など、他にも考えるべきことは山ほどあり、内装業者も決まってさあ着工となる7月、話が白紙に戻ってしまった。その店長には結構な時間を割いてもらったのに、本当に申し訳ない事をしてしまったと思っている。   教訓として学んだのは、リスクオフしたいがために共同経営という形をとったことにより契約条件が難解になってしまったということだ。やはり事業主体は自分単体でやるしかないとおもった。   ただ、はじめての飲食で何の知識もない上、オープンはホテルができる9月にはしなければならなかった。そして本業があるので使える時間は平日夜と週末だけ。 短い期限と無知、そしてコロナというとんでもない逆風の中、こうして僕のドタバタ飲食店経営が始まった。     ...